日本のいにしえからの風習には、「行事食」と呼ばれるものがあります。
ひな祭りの行事食は、はまぐりのお吸い物、ちらし寿司、菱餅、ひなあられ、白酒等があげられ、春の旬の食材が使われており、それぞれの料理や色には縁起の良い意味があるのです。
その中でもひな祭りが近くなると、庶民派のあさりを押しのけて、スーパーに所狭しと並ぶはまぐり。その理由は昔から「お姫様」という意味があるなど、女の子の幸せに通ずるような由来から来ているんです。
突然ですが、この記事の結論はハマグリ=浜栗は「あさり」でも全然構わないという乱暴にさえ思えるものですが、理由があります。その理由は、平安時代の由緒正しい行事で使われていた日本のハマグリは殆ど絶滅して中国のはまぐりだからです。
お雛様にチャイナドレスを着た人形飾っている風景を思い浮かべるほど不自然な感じがするからですが、あくまで個人の感想です。
スーパーに出回るハマグリの殆どは、「シナハマグリ」です。韓国と中華人民共和国から輸入されているハマグリなんですよ。業者が海にばらまいて、日本のハマグリとの混血をおしすすめています。
ついで多いのが、「チョウセンハマグリ」*チョウセンは朝鮮ではなく、地はまぐりといって、異国的なはまぐりという意味です。身も貝殻も高級で碁石に細工されます。
本家本元のハマグリは今や絶滅の危機にさらされています。今や瀬戸内海と九州の西岸でしか漁獲がないのが、いにしえの風習で行事食として使われていたハマグリです。
それなら、アサリでも良いから日本産のものを使うのが、日本の行事じゃないかと思うわけです。アサリも外国産の物が多いのですが、はまぐりに比べればまだ日本産は多いでしょう。
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ひな祭りに何故はまぐりなのか、由来を教えて
3月3日のひな祭りは、女の子の健やかな成長を祈る行事です。
その時の行事食になくてはならないのが、はまぐりのお吸い物。
では何故はまぐりなのでしょう?
昔から二枚貝には、「お姫様」という意味がありました。「女性」を表している言葉なんですね。そういえば貝が女性を象徴する言葉は日本だけではなく、誰の詩だか忘れましたが、高校生の頃そういった詩を読んだ記憶があります。
中でも、はまぐりと言えば、誰でも学校で習った事がある、平安時代の「貝合わせ」という遊びがあります。
はまぐりの貝殻は対になっていて、対でなければ二枚はぴったりとは合わないんです。
このことから、はまぐりには、夫婦円満、一生一人の人と添い遂げるようにという願いが込められていて、これがひな祭りに食べるはまぐりの意味です。
貝合せの貝殻をしまっておく貝桶という嫁入り道具
昔、上流階級のお嬢様の嫁入り道具の中には、「貝桶」と呼ばれる物がありました。
貝桶は「貝合わせ」という遊びに使う貝殻をしまっておくためのものです。
豪華な絵をかいた、1年分、360個のはまぐりを、豪華な箱に詰めて、一番最初に新郎の家に運び込んだそうです。
今の時代に通じるかどうかは別として、はまぐりは仲の良い夫婦の象徴とされ、結婚式の縁起物にもなっています。
平安時代の貴婦人の間で行われていた、はまぐりの貝殻を使った遊びです。
一枚ずつに分けたはまぐりの貝殻の内側に、絵や文字を書いて伏せ、神経衰弱のように合うものを探します。
貝殻の模様合わせですが、二枚対でなければ絶対に合うことはありません。
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はまぐりの旬と栄養からみてもひな祭りにピッタリ
はまぐりは、ひな祭りの時期の2月~4月に旬を迎えます。
●栄養
- 鉄分 ・カルシウム ・タウリン ・ビタミンB2 ・ビタミンB12 ・亜鉛
●効果
- 貧血予防 ・血圧を下げる ・コレステロールを下げる ・肝機能アップ
- 骨粗鬆症予防 ・骨の強化 ・肥満予防 ・動脈硬化予防
はまぐりはとても栄養価が高く、女性に嬉しい効果も期待でき、まさに、ひな祭りにピッタリの食材ですが、実はあさりも栄養価でははまぐりに負けていません。ビタミンB12と鉄分に関しては、しじみ>あさり>はまぐりの順に多いんです。
そんなはまぐり、どうやって食べるのが一番良いかというと、汁まで食べられるお吸い物です。
ひな祭りのはまぐりのお吸い物
ひな祭りには、汁まで食べられるはまぐりのお吸い物が鉄板です。
簡単なお吸い物のレシピを紹介しますので、どうぞ作ってみてください。
はまぐりのお吸い物のポイントは2つ。
- ①かつお出汁を使わず、昆布出汁を使う事。
- ②水の状態から火にかける事。水からじっくり煮て美味しい味を出しましょう。
<材料>4~5人分
- 水:3カップ
- はまぐり:適量(人数分)
- 酒:大2
- 塩:1つまみ
- 醤油:少々
- 出し昆布:5cmぐらい
- あれば三つ葉、花麩か手毬麩
<作り方>
- 1、はまぐりを塩水に2~3時間漬け、塩抜きをします。
- 2、流水で、はまぐりをすり合わせて洗います。
- 3、鍋に、水、出し昆布を入れ、30分ぐらい漬けておきます。
- 4、3の鍋にはまぐりを入れ火にかけます。
- 5、弱~中火で煮ます。
- 6、沸騰する直前に昆布を取り出しましょう。
- 7、麩を水で戻し、三つ葉もサッと火を通しておきます。
- 8、はまぐりの口が開いたら火を止め、調味料を入れます。
- 9、味をみながら、醤油をたしてください。
- 10、器に注いで、麩や三つ葉を飾って出来上がりです。
ひな祭りには、はまぐりのお吸い物を作って、汁まで全部食べましょう。
はまぐりの本当に美味しい食べ方は漁師さんが知っています。「ハマグリは身だけでなく殻に残る体液が美味い」というのが漁師さんの貴重なアドバイス。ですから殻ごと調理する料理が一番美味しい。
吸い物もそうですし、焼はまぐりもね。焼はまぐりでの注意点は、美味しいお汁がこぼれないように、蝶番(ちょうつがい)の黒い靭帯を切り取っておきます。
まとめ
ひな祭りが近くなると、スーパーに並ぶはまぐり。値段は高いですが、
はまぐりでなければいけない理由が沢山あったんですが古のはまぐりはほぼ絶滅。
シナハマグリであってもお祝いの日には奮発して食べるのも良いですが、日本の古からあるアサリを食べたって良いでしょう。
はまぐりのお吸い物は、正式には潮汁といいますが、少し砂抜きに時間のかかるアサリだって良いでしょう。
汁物の中でも一番手間がかからないレシピです。ひな祭りに是非作ってみて下さい。
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