春夏秋冬、アトピーの症状が悪化する人が多いのは夏です。
何故、夏はアトピーの症状が悪化してしまうのでしょうか?
その答えは「紫外線」と「汗」の影響です。
夏を中心にアトピーの悪化について詳しくみていきましょう。
その前に、まずアトピーとは何かについて確認しておく必要があるでしょう。
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アトピーとは何?
アトピー、アトピーってよく言われますが、アトピーとはアレルギー性の喘息、皮膚炎などを発症しやすい体質の事をいいます。
アトピーは、アレルギーの一種です。年々増え続け乳児の15%、小児の10%、成人の30%がアトピーであるという統計があります。それだけの患者さんがいるのですから珍しい病気ではないんです。
大気汚染、抗生物質の乱用、ストレス社会、新建材、ハウスダスト、食品添加物の多量摂取、過剰な清潔志向などが要因となって免疫異常を起こしていると言われます。
こういうことは直ぐには解決が難しいので、これからもアレルギー患者やアトピー患者は増えていくでしょう。
たくさんのアレルギーの中で、皮膚の炎症を伴う場合がアトピー性皮膚炎です。
アトピー性皮膚炎の症状
- 赤み、じゅくじゅく、引っかくと液体が出る、ささくれだって皮がむける
- 長引くと硬くなって盛り上がる
- 多くは左右対称にできる
- 額、目や口のまわり、耳のまわり、首、わき、手足の関節の内側などに出る
アレルギーを起こしやすい体質の人、皮膚のバリア機能が弱い人に多くみられます。
主な症状としては、湿疹とかゆみ、再発を繰り返し慢性化するのが特徴です。
慢性と判断されるのは、症状が6カ月以上(乳幼児では2カ月以上)続く場合です。
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アトピー性皮膚炎の原因
アトピー性皮膚炎の原因は、はっきりとはわかっておらず、個人個人で原因が違います。
- 遺伝
- 家族のアトピー体質を受け継いでしまう
- アレルギーを起こしやすい体質
- 食生活の欧米化
- 不規則な生活
- ダニ、ハウスダスト
- 環境因子
- かきむしったり洋服で擦れる刺激
また、乳児では食べ物が関係するケースもあります。
アトピーが悪化する季節
夏だけでなく、季節によってアトピーの症状は変わることが多いです。
- 春 :9%
- 夏 :58%
- 秋 :8%
- 冬 :25%
人によってアトピーが悪化する時期は色々ですが、夏にアトピーが悪化する人が圧倒的に多いようです。
それでは、季節ごとのアトピー悪化因子にはどのようなものがあるのでしょうか。
●春
- スギ、ヒノキ等の花粉
- ストレス
- ダニ、ハウスダスト(梅雨時期)
- 黄砂
この時期にアトピーが悪化する原因はスギ花粉や、新年度での生活環境の変化によるストレス。
食生活の乱れによるビタミンが不足や、肌荒れと言った原因が考えられるでしょう。
●夏
- 紫外線による日焼け
- ハルガヤ、オオアサガエリ等、イネ科の花粉
- 汗
皮膚に大敵な紫外線が多い季節です。特に、汗と日焼けは大きな要因になります。
●秋
- 食事(アレルギーをおこすカニなど)
- ヨモギ、ブタクサ等、キク科の花粉
- 汗
- 砂
秋は、症状が落ち着くと思われがちですが、暑くなったり寒くなったりするので皮膚への負担があります。
子供は、運動会時期なので汗や砂対策が重要ですが、気をつければ快適な時期でしょう。
●冬
- 乾燥
- 衣類の残留洗濯洗剤
冬の主な原因は乾燥です。乾燥によって掻きむしってしまい、荒れた皮膚からアレルゲンが侵入します。
衣服に残留する界面活性剤は要注意です。
無添加洗濯せっけんの使用。すすぎの回数を増やす。温水ですすぐ。洗剤の使用量を減らす、といった事でしっかり対策しましょう。
季節の変わり目にアトピーが悪化する理由
天候や気温が不安定な季節の変わり目は、体調を崩しやすく、免疫力、抵抗力が低下します。
そのために肌荒れや湿疹が引き起こされるのは、不思議な現象ではありません。
気温の差は、肌には思った以上にストレスになります。
精神的なストレスに加え、気温が変化するストレスが蓄積され、新陳代謝の低下や再生機能が損なわれ、湿疹や体調不良に繋がるのです。
冬から春先にかけては、気温の上昇に伴って汗をかきやすくなり、皮脂分泌が盛んになります。
それによって、肌表面の細菌が繁殖し、湿疹や痒みが酷くなります。
秋から冬にかけては空気が冷たくなる為、肌は乾燥しダメージを受けやすくなってしまいます。
アトピーが悪化する夏
乾燥する冬と夏、アトピーの症状が悪化する人が多いのは夏です。
考えてみると、冬は乾燥対策として保湿をする人が多いのです。
ところが夏場は湿度が高く皮膚が乾燥しにくいので、きちんと対策を行う人が少ないように思います。
夏は、肌の乾燥よりも他に、アトピーの悪化原因が多くなる季節です。
●皮膚に付いた汗
- 朝や日中に汗をかいたら、シャワー等で汗を洗い流す。
- 外出中の汗は、タオルや汗拭きシートでこまめに拭く。
- シャワーのあとは忘れず保湿をしましょう。
アトピーは夏に汗をかくと治る
夏や冬にアトピーが悪化する場合の要因は汗です。
汗はアトピーが悪化するからできるだけかかないほうが良いという意見と、汗をかくとアトピーは改善するという2種類の意見があります。
アトピーの人は皮膚をひっかいてしまうので、皮膚の内側の汗腺機能が壊され、普通の人の2分の1の発汗量しかありません。
更に、汗をかくと痒くなるから好んで運動する人もいないでしょう。
つまりアトピーの人は汗の量が少なく体温調整が下手です。それに常在菌の調整ができないので殺菌作用もありません。
しかも汗をかくと痒くなるという悪循環にあるのです。
汗の量が少ない = 代謝が良くない = 毒素が身体に溜まります。
このドロドロとしたアトピーの汗は痒くなるだけでなく、体臭や加齢臭の原因にもなるのです。
しかしながら、毎日運動して汗をかき基礎代謝を上げていけば臭くないサラサラの汗になり、痒みも治まって行きます。
体力、免疫力が上がり、アトピーの出にくい身体になるでしょう。
ただし、汗対策のポイントは汗をかいた後いかに短期間で汗をふきとるかです。
汗をかいたらさっとふきとるという事を守れば、アトピー改善に向かうはずです。
汗をかくのは大事、だけど汗の放置はダメという事です。
夏のアトピー対策
●紫外線
紫外線による皮膚ダメージは大きなアトピー悪化原因です。紫外線対策はきちんとしましょう。
- 長袖、長ズボン着用。
- 日焼け止めクリームを塗る。
- 帽子、日傘の使用。
- 長時間、屋外にいない。
●蒸れ
汗を吸って通気性が悪くなった衣服を着ていると、蒸れて皮膚がかぶれてしまいます。
蒸れを防ぐには肌着を着るようにしましょう。
●寝苦しさ
暑いと感じる室温では、汗や蒸れが起こりますから、エアコンで室温調整をしましょう。
●胃腸が弱る
アトピーの人にとっては、冷たい食べ物で胃腸を冷やして、機能低下させてしまうのはNGです。
夏は乾燥しにくい季節ですから、しっかりと対策すれば、アトピー症状は改善していくはずなのです。
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正しいアトピー診断
なかなか治らない湿疹で病院を受診すると、かゆみを伴った湿疹という点だけで、アトピーと診断されるケースがあります。
アトピー性皮膚炎には、診断基準があるのを知っていますか?
アトピー性皮膚炎の診断基準
1、患部にかゆみがある
2、湿疹の特徴
- 急性の場合 :赤み、ブツブツ、ジュクジュク、皮むけ、カサブタがみられる。
- 慢性の場合 :皮膚が赤く硬い。病変部がザラザラ、ゴワゴワ。皮むけがみられる。
激しいかゆみを伴ったブツブツ、掻き壊しがみられる。
3、湿疹の分布場所
- 発症しやすい部位は、額、眼や口のまわり、口唇、耳のまわり、頚部、手足の関節部の内側、体幹。
- 左右対称にあらわれる。
4、年齢による特徴
- 乳幼児期 :頭、頸部
- 幼小児期 :頸部、手足の関節部
- 思春期~成人期 :頭、顔、頸、胸、背中
5、症状の経過
悪くなったり良くなったりを繰り返す。
6、アトピー素因
- 家族歴
- 既往歴(気管支喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎等の疾患)
- IgE抗体を産生し易い素因をもっている
以上を満たす場合、はじめてアトピー性皮膚炎と診断されます。
簡単に判断が付く疾患ではないのに、誤診されることも珍しくないので信頼できる医者に巡り合うことが大切です。
アトピーでないのにアトピーの診断
アトピーと症状が似ている症状には、脂漏性皮膚炎 、接触性皮膚炎、疥癬などがあります。
●脂漏性皮膚炎
マラセチアというカビが、皮脂を脂肪酸に分解する時に起こる炎症。
<症状>
かゆみ、皮膚の赤み、皮膚がベラベラとはがれる、過剰にフケが出る
<症状が出る部位>
頭皮や鼻の周り、太ももの付け根など。
●接触性皮膚炎
肌に外的刺激が与えられることで発症し、かぶれともよばれます。
<症状>
赤いぶつぶつとした湿疹、皮膚が盛り上がる、水疱ができる
<症状が出る部位>
湿疹はアトピー性皮膚炎とよく似ているが、原因となる外部刺激を取り除くと治ります。
- 刺激性皮膚炎 :植物、虫が持つ毒、強い洗剤
- アレルギー性皮膚炎 :植物、金属、化粧品、外用薬
●疥癬(かいせん)
ヒゼンダニ(疥癬虫)というダニが寄生することが原因で起こる皮膚感染症。
人にうつるので要注意です。
<症状>
強いかゆみをともなう赤い湿疹。疥癬トンネルとよばれる線状の発疹が見られる。
アトピーと季節性湿疹との区別
花粉がアレルゲンとなる皮膚炎を、花粉症皮膚炎と言います。
一年中色々な花粉が飛んでいますが、冬~春に飛ぶスギやヒノキの花粉量は多く症状が出る人も多いようです。
花粉が皮膚に付くことで、顔や首などの皮膚がカサつき、赤み、痒みを伴う症状が出ます。
しかし、アトピーのように酷いジュクジュクする症状はありません。
花粉症がある人、肌のバリア機能が低くなっている人、また、花粉症がない人でも、花粉が多く飛ぶ時期は、花粉症皮膚炎を起こす場合があります。
- 花粉症皮膚炎:スギやヒノキ等の花粉が原因。花粉が多く飛ぶ季節性の湿疹。
- アトピー:ダニやハウスダスト等個人個人で原因が違う。1年中通して症状が出る。
まとめ
汗や乾燥など、季節ごとにアトピーの悪化因子があります。
どの季節も、季節に合った対策をすれば、アトピー症状は改善していくはずなのです。
それぞれの悪化因子をうまくやり過ごし、どの季節も快適に過ごしましょう。
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