増加するカンピロバクター腸炎の症状と対策。
カンピロバクター菌による食中毒にかかった事がありますか?
カンピロバクターとか、食中毒とか、無縁だと思っていたら大間違いで、実は結構身近に潜んでいるんだという経験をしたのでお伝えします。
つい最近カンピロバクター腸炎にかかってしまいまして、病院に行った時、もう1人カンピロバクター菌の食中毒患者さんがいらっしゃいました。
先生曰く「これ、結構患者さん多いんですよ。」 …そうなんだ。
「外食しました?」「いいえ」「鶏肉食べました?から揚げとか。」「…鶏肉結構食べます。2~3日に1回位」
「鶏肉とか原因かもね。あと猫のペロペロも。」「え……。猫います3匹も。」
カンピロバクターって、潜伏期間が長いから、結局何から感染したのか分からない場合が多い、って先生が言ってました。
点滴してもらったけど、下痢が4日続いた時、もうこれ死ぬの?って思うぐらい苦しかったです。
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カンピロバクター腸炎とは
カンピロバクター菌は、肉類や犬や猫の腸に存在する菌です。
カンピロバクターによる腸炎は、生の肉、汚染された食物を食べる事で感染し、発症します。
カンピロバクターによって食中毒になると、38度程度の発熱、頭痛、腹痛、嘔気、下痢症状が3~4日続いた後、多くは快方に向かいます。
しかし100人に1人の確率ですが、ギランバレー症候群にかかる可能性もあるのでなかなか深刻な病気です。
100個程度の菌量で感染しますが、空気中で長期間生存することは出来ないため、空気感染の心配はなく、人から人へうつる事もめったにありません。
しかし、免疫力が弱い小さい子どもの場合は、人との接触によって感染する可能性が僅かにあります。
成人でも感染した便を介して口に入った場合は、感染する可能性があります。
潜伏期と症状について
潜伏期間が1~10日と長い為に、何が感染源になったのかについては、特定が難しいです。
潜伏期を経て、発熱、頭痛、腹痛、嘔気、下痢(水様便)などの症状が3~4日続きます。
一般的に自然治癒傾向が強いので、多くは数日で治まりますが、まれに敗血症、髄膜炎などの合併症を起こす可能性があります。
また、ギランバレー症候群の先行感染として最も多いものだと言われています。
対症療法
自然治癒傾向が強いと言っても、下痢と発熱に伴う脱水には注意が必要です。
経口補水液やスポーツドリンク等で水分補給をして下さい。脱水の程度によっては点滴も必要でしょう。
下痢が続いている間は、スポーツドリンクや重湯等、その後はおかゆ等の消化の良いものに移行してください。
薬物療法
症状が強い場合には、抗菌薬、併せて消化薬や整腸剤が処方されます。
強力な下痢止めは、体内からカンピロバクター菌の排出を抑制してしまうため、使用はNGです。
予防と対策
1、食材への注意
2、調理器具
3、調理人の衛生
4、調理後の食品
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猫・犬はカンピロバクター菌の保有率が50%近く
感染していても症状が出ないワンちゃん、猫ちゃんが多いので、注意しないといけません。
犬や猫のウンチの中にカンピロバクター菌が潜んでいる可能性は高く、「家の子は大丈夫」って事はありません。ワンちゃん、猫ちゃんのトイレ掃除の後は必ず手を洗いましょう。
気を付けないといけないのが、猫ちゃんのペロペロ。可愛いのでついついやってしまいますが、病院で注意されました。
猫が下痢でも元気だったら大丈夫なの?
毎日の猫ちゃんのトイレ掃除で、ウンチが下痢だったり、血便だったりする事がたまにありませんか?
猫ちゃんは何も言ってくれないので心配ですが、何時もと同じようにご飯をねだってくるし、猫じゃらしには元気に反応する、これってどうなの?具合悪いんじゃないの?
元気でも猫が下痢をする原因は色々あります。
●カンピロバクター
●今食べているキャットフードが体に合わない。
●ストレス
●寄生虫
●食物アレルギー
カンピロバクターの感染からギランバレー症候群へ
女優の故大原麗子さんの死に大きく関わっていたとされるギランバレー症候群は、手足に力が入らなくなってしまう神経障害です。
原因の70%が細菌やウイルスによる先行感染で、カンピロバクターはその中の約30%を占めています。
怖い話ですが、カンピロバクターに感染した人のすべてが、ギラン・バレーを発症する訳ではありません。
カンピロバクターの遺伝子タイプと、その遺伝子タイプに対して、人にも抗体を作りやすいタイプがあり、この両タイプが一致すると、ギランバレー症候群を発症する、と言われます。
両タイプが一致する確率は100分の1ほど。そこまでギランバレー症候群について神経を使う必要はないので、食中毒の治療に専念しましょう。
カンピロバクター菌の食中毒で起こる下痢は3~4日で治まりますが、その後も抗体は残る為、食中毒の感染から1~2週間してギランバレー症候群の症状が現れます。
症状は急速に悪化し、2~3週内でピークを迎え徐々に回復に向かいます。
- 両手足の筋力低下
- 両手足の感覚障害
発症した人の内70%は回復します。( 回復に1年を要する人もいます )
20%は後遺症が残り歩行介助が必要になります。
数%は肺炎や肺塞栓を起こし亡くなることがあります。
まとめ
- カンピロバクターによって食中毒になった後、ギランバレー症候群にかかる確率は100分の1程度です。
- 亡くなる確率は高くはありませんが、難病指定されています。
- 菌に感染しないためには、とにかく肉(特に鶏肉)は十分に加熱し、調理器具や手の衛生に気を付ける事。
- ワンちゃん、猫ちゃんの便の始末や舐めてくることにも気を付けましょう。
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