萩焼は日本三大陶磁器の一つとして世界的にも有名で、古くから「一楽 二萩 三唐津」と言われ、全国的に多くの愛好家がいます。
萩を訪れるなら萩焼の窯元を訪ねるのは定番の観光コースです。
でも、一体どこの窯元が良いのか、実力のある陶芸家は何処にいるのか、そのガイド役をしていきます。
この記事を書くにあたって、いくら調べても情報のないことが幾つかありました。
萩観光協会とやりとりさせていただき、他のサイトにはない情報も載せています。
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おすすめの萩焼7つの窯元
現代の萩焼は60~70代のベテランの陶芸作家たちと、30~40代の若手陶芸作家達とのグループから生み出されています。
特に若手作家の中には、萩焼の伝統的なジャンルを越えて作陶をしている作家も沢山います。
萩焼四百年の歴史の中で最も作家層の厚い時代が今です。萩焼にとっては非常に充実した時代と云えます。
萩市内だけでも20~30人もの陶芸家がおられ、外国の方や若い陶芸家も沢山いらっしゃいます。
その中で有名なのは、三輪休雪さんの休雪窯や、不走庵三輪窯等、坂高麗左衛門窯、泉流山などです。
- 不走庵 三輪窯
- 泉流山(吉賀大眉記念館)
- 天寵窯兼田窯
- 晴雲山岡田窯
- 大屋窯
- 波多野指月窯
- 坂高麗左衛門窯
貸自転車で窯元巡りをするのもいいね
各窯元を自転車で巡る方も多いので、主なレンタサイクルの場所を青い2輪車のアイコンで示しました。
スマイル自転車のみ3店舗あり、どこにでも乗り捨てができるので便利です。
他のレンタサイクルは借りた所まで返却に行くことになります。
地図の自転車をクリックすると電話番号があるので、詳細については直接お問い合わせください。
7つの窯元の詳細
不走庵 三輪窯
●不走庵 三輪窯
電話(スマホOK):0838-22-0448 (←のタップでスマホから電話できます)
マップコード :243 890 369*33
萩市椿東無田ヶ原2721 松陰神社より徒歩5分
http://fusoanmiwagama.com/
旧萩藩御用窯のひとつで、萩焼屈指の名門です。
十代休雪・十一代休雪は、人間国宝に指定され、「三輪白」と呼ばれる白い釉薬は有名。
不走庵 三輪窯は、十代三輪休雪、十一代三輪休雪という2人の人間国宝を輩出した窯元で、十一代休雪の長男である十二代休雪もまた、この窯が生み出した著名な陶芸家です。
1974年、「三輪龍作」時代の十二代休雪が、別所に独立(現在の休雪窯)したため、十一代休雪亡き後は三男である三輪和彦氏が、不走庵 三輪窯を継承し守っていますが、三輪和彦氏は十一代休雪氏の後継者ではありません。
寛文三年の初代休雪以来、陶造形に新しい表現を求める、革新的伝統窯です。
観光客がそのままに入れるような窯元ではありません。威厳に満ちた門構え、道路沿いに看板があるわけでもなくわかりにくい場所だと思います。
小学校の傍らの細い路地を入っていくと、不走庵 三輪窯があります。どうしても見学希望される方は、前もって電話で問い合わせてみてください。
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泉流山
●泉流山
電話(スマホOK):0838-22-0541 (←のタップでスマホから電話できます)
マップコード: 588 305 483*47
山口県萩市大字椿東4481 JR山陰本線東萩駅より車で5分
http://www.senryuzan.com/
現代工芸界の巨匠。故吉賀大眉氏の窯元です。
吉賀大眉記念館が併設されているので、楽しめます。(入館料500円)
吉賀大眉氏の名前をとどろかせた「暁雲」シリーズの中の作品。もちろん抹茶茶碗などのお茶碗も数多くの作陶があります。
登り窯です。油分を多く含んだ松の木を割って2昼夜以上焚きます。右側に見えているのが最初の焚口で、ここから窯全体を温めます。
実際の焼き物を入れて、右側の溝部分に松の薪を入れて1250度くらいまで温度をあげて焼きます。写真は本焼成の前の素焼き作品を今から取り出すところ。
素焼きは粘土の作品を800℃程度の高温で焼成して、丈夫にそして吸水性を高め釉薬がけを簡単にするために行う、焼成になります。
登り窯、蹴り轆轤という昔ながらの製法、伝統的な精神を受け継いで、1つ1つが作られています。
普段使いの和食器、高品質な抹茶茶碗、またプレゼント、贈答品まで、老舗の窯元ならではの上質な萩焼です。
陶芸体験教室がありますから、初心者でも手軽に萩焼を作って楽しめます。
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天寵窯兼田窯
●天寵窯兼田窯
電話(スマホOK):0838-22-2468 (←のタップでスマホから電話できます)
マップコード :588 305 678*52
萩市前小畑1区4867-1 JR東萩駅→徒歩15分
http://www.hagishi.com/search/detail.php?d=700069
現代の萩焼を代表する兼田昌尚さんの窯です。
作品は、轆轤ではなく「くりぬき技法」と呼ばれる、粘土の塊をくりぬいて作られています。萩焼独特の柔らかな肌感、力強い形状が特徴的です。
晴雲山岡田窯
●晴雲山岡田窯
電話(スマホOK):0838-25-3737
マップコード : 588 305 856*22
萩市椿東前小畑一区 JR東萩駅から徒歩12分
http://www.hagishi.com/search/detail.php?d=700068
江戸時代から続いている伝統的な窯元です。今でも登り窯を使って制作をしています。
山口県指定無形文化財萩焼保持者の岡田裕氏と、日本工芸会準会員の岡田泰氏の作品の展示や、茶陶を中心とした、花入れや壷、日頃使用する食器なども販売しています。
歴史ある登り窯や作業場の見学もOKですから、萩焼の真髄に触れてみたい方は、ぜひ訪れてみて下さい。
大屋窯
●大屋窯
電話(スマホOK):0838-22-7110
マップコード : 243 799 010*06
山口県萩市椿905 萩駅から徒歩約23分
http://ooyagama.com/
日本のみならず欧米などでも個展を開く人気作家・濱中月村氏の窯です。
大屋窯の器は、すべてが天然釉薬、ひとつひとつが手作りされています。
萩土と天然釉薬を使い、茶陶、食器類を中心に、和・洋の食・空間に合う、シンプルで温かみのある作品です。緑に囲まれたギャラリー兼母屋で、作品が展示・販売されています。
波多野指月窯
●波多野指月窯
電話(スマホOK):0838-22-1784
マップコード : 243 887 240*47
萩市堀内247 萩博物館より徒歩2~3分 登り窯見学可(お電話にて要予約)
http://hagiyaki-hadano.jp/
波多野善蔵と英生の親子二代が萩焼作家として作陶している窯元です。
周囲は大変静かな町並みで、堀内の美観地区の入り口あたりに位置します。武家屋敷の造りの萩博物館のすぐ近くです。
店舗の前の道をまっすぐに直進すると、萩城址のある指月公園があります。
周囲には色々と見どころのある観光スポットがたくさんあるので、散策の途中で立ち寄るのが似合う窯元です。
登り窯での焼成にこだわり続け、事前連絡しておけば登り窯の見学もできます。
坂高麗左衛門窯
●坂高麗左衛門窯 :☎ 0838-22-0236 (←のタップでスマホから電話できます)
住所萩市中の倉1922
三輪窯と並ぶ萩焼の御用窯
坂窯は毛利氏が広島城から萩に城を移した後、萩の松本村(松陰神社が近くにあり、三輪窯も近くです)に開窯。
毛利輝元によって萩に連れてこられた李敬が萩焼の創始者であり初代です。三輪休雪の三輪窯とともに、萩藩の御用窯を務めた由緒ある窯元です。
2代目藩主二代藩主綱広公より“高麗左衛門”の名を賜わったあと、12代高麗左衛門まで窯が継承されてきました。
ところが、12代高麗左衛門が事故により急死。
それから7年間高麗左衛門は空位となっていましたが、2011年4月11代の四女が女性では初めて名跡を継いで、13代高麗左衛門を襲名しました。
しかし、その13代も2014年11月に急性肺炎で死去され、現在14代坂高麗左衛門は空位のままなのです。
坂窯は営業はされているので見学は可能ですが、必ず事前に予約が必要になりますので注意して下さい。
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休雪窯について
●休雪窯 :0838-25-3388 (←のタップでスマホから電話できます)
山口県萩市椿東858-9
http://hagi-yaki.net/kyusetsu/index.html
非公開なので見学はできません。ご注意下さい。
三輪窯が生み出した、十一代三輪休雪の長男である十二代休雪が、1974年、三輪窯から独立して開窯。
十二代休雪は三輪家の伝統を継承しながら、独自の世界観をもった前衛的な創作を行っています。
現代工芸派と伝統工芸派2つの系統がある萩焼
まあいわば派閥のようなものですが、観光客として窯元をおとずれるときには、その違いは大した意味はもちません。
それでも一応簡単に理解はしておいたほうが、興味深く窯元見学ができるというものです。
現代工芸派の有名作家吉賀大眉氏の逸話
萩焼と一口に言っても、伝統工芸としての萩焼と現代工芸としての萩焼があります。
現代工芸の萩焼の代表的な窯元が「泉流山」。ここは是非訪れてください。吉賀大眉記念館も併設されていて見応えもあります。
私は萩焼が大好きで、「泉流山」という窯元で、職人でもないのに何度か登り窯の窯焚きを手伝ったことがあります。
泉流山の故吉賀大眉氏が質の高い作品だけを残すための行動に度肝を抜かれました。
氏が焼きあがったばかりの抹茶茶碗を、工房の裏の窪地でいくつも幾つも叩き割る場面を目撃しました。その光景が、今でも忘れられません。
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三輪休雪とは伝統工芸派三輪窯の当主が襲名する名称のこと
三輪休雪とは萩市の萩焼の代表的窯元・三輪窯の当主が代々襲名してきた陶芸作家としての名称のことで、個人名ではないのです。
そのため当主を降りると、三輪休和や、三輪壽雪などの号を名乗ることになります。この2人はいずれも人間国宝に指定されました。
吉賀大眉氏は現代工芸としての萩焼の有名作家、三輪休雪氏は伝統工芸としての萩焼の有名作家です。
三輪窯や坂窯は御用窯(萩藩公認の窯)だったため伝統工芸派として有名ですが、現代工芸の流れをくむ泉流山には行くべきです。
現代はベテラン作家と若手作家とで充実した萩焼の時代を築いています。
現代の萩焼は60~70代のベテランの陶芸作家たちと、30~40代の若手陶芸作家達とのグループから生み出されています。
特に若手作家の中には、萩焼の伝統的なジャンルを越えて作陶をしている作家も沢山います。
萩焼四百年の歴史の中で最も作家層の厚い時代が今です。萩焼にとっては非常に充実した時代と云えます。
萩焼の味わい
シンプルで素朴、使うごとにあたたかみのある色味に変わる萩焼。秀吉が朝鮮から連れ帰った陶工が、萩藩の御用窯を創始してつくられてきたものです。
温かみのある色の大道土と鉄分の多い見島土
防府市の大道で採れる原土や、萩の沖合にある見島の火山から噴出した鉄分の多い土を使うこともあります。
色々な土味を楽しめるのも萩焼の特徴と言えます。
土が粗く、年月が経つと色が変化してきます。
それは、うわぐすり(釉薬)の状態によって、焼き物の表面に入る細かいひび(貫入)が色の変化に重要な役割を果たしています。
貫入に茶渋などが入り込み、独特の色合いをかもし出します。
萩焼は使うに従って味わいが出てくるので、愛着も増してきます。
貫入にしみ込んだ茶渋を洗剤で洗い流す・・・?!
萩焼に対してそんなことは絶対にやってはいけません。
萩焼の良さは、貫入にしみ込んだ茶渋と一体となった「美」ですから、そのまま愛でるのがよろしいかと思います。
萩焼の窯元の雰囲気を味わいたい人は窯元に行きましょう
萩焼まつりに行くかどうかは別として、窯元の雰囲気を知ることは貴重な体験ですし、本物の萩焼に出会えます。
窯元に直接見学に行くのもよし、土産物ではない萩焼専門店に行くこともおススメです。
萩市内には20~30人の陶芸作家がいます。
その中でも特に有名な、三輪休雪さんの休雪窯や、不走庵三輪窯が真っ先に紹介される窯元窯元です。
しかし、休雪窯は非公開なので見学はできないので訪れたとしても見学はできません。萩焼窯元が全て観光資源になっているわけでは無いということです。
お邪魔してみたい窯元が見つかったら、見学できるかどうか事前に確認してくださいね。そうしないと見学できないこともあります。
登り窯の見学、萩焼体験、萩焼の購入ができる窯元も多いので、色々楽しめることでしょう。
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まとめ
萩焼はシンプルで優しい味わいがあり、使い込んでいくと、自分だけのオリジナルな茶碗になります。
普段使いにも、プレゼントにも重宝する事間違いなしです。
萩観光の折には、是非人気の萩焼窯元に立ち寄って本物の萩焼に出会って下さい。
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